「これから10現場分、

　工事の見積金額を半額にしてください。

　できなければ取引を停止して、

　今後は他の業者に仕事を回します。」

2007年7月12日、

私は得意先から厳しい値引き条件を

突きつけられました。

もちろん見積を半額にしたら大赤字です。

なんとか妥協点を見出そうと

必死に交渉しましたが、

得意先はさらに条件を厳しくしてきます。

あからさまな下請けイジメを受け、

屈辱に感じた私は取引停止を覚悟して

その値引き条件を断ろうと決意しました。

この件について、

経営コンサルタントとして

山﨑建材を支えて下さっている

素心学塾の池田塾長に相談すると、

「その得意先を失って

　経営は成り立つのですか？」

と質問されました。

その得意先は売上2位でしたので、

取引が無くなると経営は苦しくなりますが、

侮辱的な対応をされたので

もう付きあいたくないと答えました。

私の思いを聞いたうえで、

池田塾長は次のように

アドバイスしてくださいました。

「今回の値引きは受け入れましょう。

　あなたには経営者として

　社員の生活を守る責任があるからです。

　この件は得意先が悪いのではなく、

　あなたに力が無いことが原因です。

　今はぐっとこらえて、

　力をつける努力をしましょう。

　そしてその得意先がなくても

　成り立つような会社に成長させて、

　それからまた取引条件を交渉しましょう。」

人間性を良くするための徳目の

15番目は【忍耐】です。

「思うようにならないことを、

　じっと辛抱する」ことです。

私はアドバイス通りに

その値引き条件を受け入れました。

苦しい条件でしたが、

社員や職人さん、メーカーさんの協力のお陰で、

なんとか乗り切ることができました。

そして下請け体質から脱却するため、

新事業の立ち上げや業界団体への加盟をしました。

2009年3月にリフォームショップを立ち上げました。

また新卒採用や事務所リノベーション、

自社イベントなどをおこない、

コンテストで全国表彰を受けるなど

業界内での地位向上に努めました。

『お客さま満足度コンテスト』で13年連続入賞、

全国1位には3回選ばれました。

私自身も経営者としての力を付けるため、

素心学塾で学んだ

『おもいやりの経営』の実践に取り組みました。

お陰で北九州市主催のセミナーや

若手経営者団体で講演する機会をいただき、

同業者や得意先の経営者も

受講して下さるようになりました。

500名以上の経営者の前で、

講演をさせて頂いたこともありました。

そして厳しい値引き条件を突きつけられてから

13年後の2020年3月、

その得意先との値上げ交渉をおこないました。

適正な利益を確保できるようになり、

今でも良い取引を続けさせて頂いています。

【忍耐】とは、ただ我慢することではなく、

次の２つのことを心がけることが大切です。

①感情を露骨にあらわさない。

　特に「怒り」はあらわさない。

②たとえ長い年月がかかっても、

　立てた目標は達成する。

13年かかりましたが、

その時の悔しさを会社と自分の成長に

繋げることができました。

これからも悩み苦しみを他人のせいにせず、

己に打ち克つ心を養っていきたいと思います。

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